2023.02.14
コラム

訪問医療マッサージで床ずれ・褥瘡の予防はできる?

要介護状態の中でも、特に自分で身体を動かすことが難しい方を介護する場合、家族の悩みのひとつとして挙げられるのが床ずれ・褥瘡です。床ずれ・褥瘡を訪問医療マッサージで予防したいと考える方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、床ずれ・褥瘡とはどんな状態なのか、訪問医療マッサージで予防や改善ができるのかご紹介します。

床ずれ・褥瘡とはどんな状態?

まず知っておきたいのが、床ずれ・褥瘡がどのような状態であるのかという点です。
床ずれと褥瘡は同じ意味で、医療的には床ずれもすべて褥瘡と呼びます。床ずれ・褥瘡とは、皮膚の一部にただれや傷、赤みができることです。
寝たきりなどの場合自力で体位を変えることはできないため、部分的に圧力が集中してしまいます。そうすると、その場所の血流が悪くなったり滞ったりすることによって、皮膚に赤みやただれができてしまうのです。
骨が突き出ている部分は特に強く圧迫されることから、床ずれ・褥瘡ができやすく、あおむけで寝て過ごす時間が多い方では、後頭部、肩、おしり、かかとに床ずれ・褥瘡ができやすくなります。
日本褥瘡学会の調査によると、病院であれば床ずれ・褥瘡の人の割合は1.9%~3.5%とされています。在宅で過ごす方への調査は行われていませんが、療養者100人当たり、約1~3人は褥瘡があると考えられているのです。

床ずれが引き起こす健康被害

床ずれ・褥瘡は傷なので放っておけばどんどん皮膚組織が壊死していきます。さらに、皮膚から浸出液が出たり、皮膚そのものが腐敗したりするので、衛生状態も良くありません。
このまま長期的に過ごしていると、やがて褥瘡からさまざまな細菌が入り込み、感染を引き起こします。感染すると、熱が出たり、だるくなったりと全身状態が悪化する可能性が高まるのです。
そもそも、床ずれや褥瘡ができてしまう方は、病状の悪化や障害によって寝たきりになっており、健康な人よりも体力や免疫力が低下している状態です。褥瘡による全身状態の悪化が命につながることも考えられます。
また、命の危機につながらなかったとしても、足や腕などに褥瘡ができてしまい、治癒が遅れていれば、今後全身の健康状態が回復してきたとしても腕が動かせない、歩けないという二次的な健康被害につながってしまう可能性があるのです。

訪問医療マッサージは床ずれの予防に効果的

軽視していれば命の危険性もある床ずれ・褥瘡は訪問医療マッサージでも予防ができます。床ずれ・褥瘡は血流が不足していることによって起こるので、訪問医療マッサージで血流の改善が期待できます。
具体的には、褥瘡になりやすい部分のマッサージをしていきます。褥瘡の部分あるいは、少しでも赤みが出てきたらマッサージはできないため、予防としてまだ褥瘡ができていない部分へマッサージをするのが効果的です。
床ずれ・褥瘡の予防に最も効果があるのが体位変換です。訪問医療マッサージでは施術中、皮膚の状態なども考慮しながら、体位変換を積極的に行います。また、床ずれを起こしやすい人の特徴として、皮膚が硬いことが多く見られるため、皮膚を柔らかくすることも大切です。皮下組織への負担を軽減するため、手の温度や柔らかいタッチでマッサージを行うことで、床ずれ予防へと導きます。

今回のまとめ

床ずれ・褥瘡は寝たきりの高齢者であれば誰にでも起こるリスクがあるものです。軽視していると悪化して細菌感染などを引き起こす可能性もあります。全身状態が改善しても褥瘡の治癒に時間を要してしまう可能性もあるため、早期に改善することや予防することも大切です。
体位交換や褥瘡ができやすい部分周辺のマッサージなどをして血流を改善させ、皮膚への適度な刺激をあたえて、血流を停滞させず、床ずれ・褥瘡を防いでいきましょう。